目覚ましい経済成長・発展を続けるシンガポール? 〔前半〕

シンガポールを表すキーワードとして多く目にするのが、「目覚ましい経済発展を続けるシンガポール」「急成長を続けるシンガポール」「経済成長を続けるシンガポール」といった景気の良い言葉。

留学のお問い合わせでも「経済発展を続けるシンガポールを見たい」という声は多いです。

しかし、シンガポールに住んでいる身として、実はこれらの表現にとても違和感を感じています。

独立から50年、「目覚ましい経済発展を遂げた」のは事実ですが、違和感を感じるのは、現在進行形の「続ける」の部分。

元々、アジアNIESの1国(香港・シンガポール・韓国・台湾)として、その急成長ぶりが注目されたのは1970年代・80年代の話。

今日のシンガポールは、経済も成熟期に入り、今後はプラス成長をなんとか維持していきたいというのが現実です。

この違和感、ギャップはどこから来るのか? その鍵を握るのが「2011年」という年にあるのではないか?と考え、このブログを書くことにしました。

​シンガポールは2009年のリーマンショックで8年ぶりのマイナス成長を記録しました。
しかしリーマンショックによる景気低迷は世界的にも一時的なものにとどまり、翌2010年は、そのリバウンドというべき15%台​という驚異的な成長率を記録しました。これはシンガポール独立以来最高(1970年の13.89%以来)の経済成長率です。

また、その年はシンガポールだけでなく日本もリバウンドがあり、バブル崩壊以降では最高の4.7%の経済成長率を記録しています。

グラフ出典元:世界経済のネタ帳

リーマンショックのリバウンドという特殊事情があった2010年の経済成長率、その数値が発表されたのが鍵を握る「2011年」です。

2011年3月、東日本大震災が発生、原発事故も起き、日本中が暗く沈んでいたその頃(2011年6月~)、日本のテレビで1本のCMが流れました。

「SMAP→SINGAPORE COME ON !」

マリーナベイサンズ屋上のサンズスカイパーク(2010年7月開業)で、スマップのメンバー5人と多くの西洋人エキストラで撮影されたソフトバンクのCMです。

震災で暗く沈んだ日本、夏の節電の話も出始めていた頃、近未来的なマリーナベイサンズの建物、サンズスカイパークでパーティーを楽しむSMAP、このCMがシンガポールのきらびやかなイメージを日本人に強く印象付けました。

おそらくソフトバンクも、当時の日本の状況とCMイメージのギャップから来る不謹慎というクレームを心配したのでしょう、CM最後に「このCMは3月3日に撮影されました」というテロップを挿入していたのが印象に残っています。

CMが放送されて以降、シンガポールを報じるメディアは、経済成長率15%+マリーナベイサンズ、震災の日本から輝かしい経済成長を続けるシンガポールへ・・・という論調一辺倒になりました。シンガポール進出ブームと呼べる現象が目立ち始めたのもその頃です。

2010年に15%の経済成長率を遂げたシンガポール

SMAPのマリーナベイサンズを舞台にしたCM

暗く落ち込んでいた日本にとって、この2つの印象が強すぎたのでしょう、あれから6年近くが過ぎた今も、日本人の多くが抱くシンガポールのイメージになっていると感じます。

しかし実際は、経済成長率の推移をみる通り、2011年以降は下降線をたどっています。昨年、2016年の経済成長率(速報値)は1.8%、一昨年の2%をさらに下回る結果、ちょうど日本のバブル崩壊後のグラフ(1990年代前半)に似た数値・グラフになっています。 シンガポール、16年は1.8%成長 (日本経済新聞 2017/1/3)

シンガポールの経済成長率 2009年~2017年 ※2016年は速報値、2017年は予想 ※スマホは横向きに

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
-0.6% 15.2% 6.2% 3.7% 4.7% 3.3% 2.0% 1.8% 1-3%

経済成長率(2009-2015):Department of Satistics Singapore(シンガポール統計局)
経済成長率(2016):Ministry of Trade and Industry Singapore(シンガポール通産省)
2017年予想: Ministry of Trade and Industry Singapore(シンガポール通産省)

一方、日本でシンガポールが騒がれ始めた2011年、シンガポール現地の状況はどうだったか?というと、既に現在の経済減速感は見えはじめていたように感じます。それについては文が長くなってきたので、後半という形で改めて書きたいと思います。

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