シンガポールにはどんな外国人が何人住んでいる?-政府統計より 

外国人が多すぎる、永住権が簡単には取れなくなった、就労パスが許可されなかった、ここ最近シンガポールでよく聞かれる話です。

日本人在住者の間でも、色々な噂が流れたり、情報交換が行われていますが、実際にシンガポールにはどんな外国人が何人住んでいるのか? 細かな数字までは知られていません。そこでシンガポール政府発表の統計をもとに、シンガポールの外国人人口を、彼らが持つ滞在許可の種類別にまとめてみました。

数字は2011年の統計、項目は左から、滞在許可の種類、 人数、全人口に占める比率、外国人人口に占める比率です。

全人口 518万人 100%
シンガポール国民 326万人  63%
外国人合計 192万人  37% 100%
 ワークパーミット  83万人  16%  43%
 永住権  53万人  10%  28%
 配偶者パス  20万人   4%  10%
 エンプロイメントパス  17万人   3%   9%
 Sパス  11万人   2%   6%
 学生パス   8万人   2%   4%

シンガポールの外国人総数は192万人、実に人口の3人に1人が外国人です。ちなみに日本の外国人総数は213万人、人口の60人に1人が外国人です。シンガポールは日本に比べ人口比で20倍も外国人が多いことになります。

外国人で最も多いのが、外国人全体の4割強を占める「ワークパーミット」で働く外国人。いわゆる出稼ぎ労働者であり、メイド・工場・建設現場・飲食店などで働いています。外国人の半分近くを占める彼ら、多すぎる外国人を減らすには、ここを減らさなければなりません。しかし彼らが従事するのはシンガポール人がやりたがらない仕事であり、なおかつ低賃金労働です。ここを大幅に減らしてしまうと、子供や高齢者の世話をするメイドを雇えないことで共稼ぎが難しくなる、シンガポールの美しい街並みを保つ為の清掃が行き届かなくなる、商業施設や住宅の建設・公共交通インフラ整備が遅れる、飲食店のサービスが回らなくなる、企業は人件費が増加するといった問題が発生、シンガポールが回っていかなくなってしまいます。

次に多い「永住権」を持つ外国人、彼らの多くは家族的繋がり(シンガポール人との結婚等)やシンガポールへの経済的貢献(永住権を持つ日本人の多くはこれ)を理由に永住権を持つ人々であり、他の外国人に比べて、シンガポールへの結びつきが強い人々です。ここも簡単には減らすことができない人々です。

そしてシンガポールに住む日本人の多くが持っているのは、次に多い「配偶者パス」とその次に多い「エンプロイメントパス」です。しかし、この2つをあわせても全人口に占める比率はわずか7%、外国人全体の比率でもわずか19%です。今年から「エンプロイメントパス」の発行基準が引き上げられ、また今年9月からは「配偶者パス」の発行基準も引き上げられることが決定していますが、外国人の数を減らす・・・という観点からみれば、これらの新しい基準も効果は非常に限定的であることがわかります。

このように外国人が多すぎる、減らさなければならない・・・と言っても、効果的な方法を見つけ出すのはシンガポールという国の構造上、簡単ではありません。

そもそも外国人問題が大きくなった直接的な理由は、人口急増により、公共交通機関の混雑、住宅の値上がり、生活習慣の違いといった生活に密着した問題です。その批判が昨年5月に行われた総選挙で与党に歴史的に低い得票率となって現れ、その結果、政府は「シンガポーリアンファースト」(シンガポール人優先策)を掲げるようになりました。

参考資料:シンガポールの人口推移(政府統計局)
2005年の427万人から2010年には508万人と僅か5年で20%も急増

2005年頃から政府は外国人にどんどん就労パスや永住権を与え、外資や富裕層の投資を奨励、カジノや高級コンドミニアムなど外向きの施設を数多く作りました。一方で、生活に密着する公共交通機関や一般向け住宅の整備は、人口急増の割には滞っていました。この歪みがシンガポール人の不満に繋がったのです。

現在、シンガポール政府は急ピッチで公共交通機関の整備(新路線の建設・既存路線の輸送力アップ・バスの購入等)や公団団地の建設を進めています。

これらの整備にある程度の成果を得られるまでは、外国人に対する政策も消極的にならざるをえないでしょう。しかし長い目で見れば、日本同様、急速な高齢化社会を迎えるシンガポール(合計特殊出生率は日本よりも低い)にとって人口増は国家運営上の絶対条件であり、それには外国からの移民の力が必要です。そのことは国民の多くも認識しているはずです。

その為、与党PAPは、次回の総選挙の年である2016年を第一の目標に、現在取り組んでいる公共交通機関や住宅の整備に一定の成果を見せ、国民の信任を得た上で、また外国人を少しづつ増やしていく方向に持っていく計画であろうと思います。

但し国のバランスを欠いてしまった以前のような就労パスや永住権の乱発はもう二度と無いのではないかと思います。

経済的に豊かになったシンガポール、これからは急成長ではなく、地に足がついた、バランスの良い国家運営が求められています。

 

参考資料:
シンガポール政府・統計局資料
http://www.singstat.gov.sg/stats/themes/people/popnindicators.pdf

シンガポール政府・国家人口人材局資料
https://www.nptd.gov.sg/content/dam/nptd/Parliamentary%20reply%20on%2028%20Feb%202012%20(on%20breakdown%20of%20non-resident%20population).pdf

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