シンガポールの物価 本当に高い？ 日経新聞の記事から

今朝、いつものようにシンガポール関連のニュースを確認していたところ、この記事が目に入りました。

「物価高大国」もデフレに？　シンガポールへ意外な警告 2016/5/31 日本経済新聞
ポテトチップス１袋4.5シンガポールドル（約360円）、500ミリリットルの缶ビール１本８シンガポールドル（約640円）――。シンガポールのスーパーマーケットでは日本の２～３倍の値段を堂々と掲げる品物の値札をみてため息をつき、陳列棚をむなしく通り過ぎることが少なくない。英経済誌の調査では、シンガポールはパリやチューリヒなどを抑えて、2015年も世界で最も生活費が高い都市に選ばれた。

例に挙げられた「ポテトチップス１袋4.5シンガポールドル（約360円）、500ミリリットルの缶ビール１本８シンガポールドル（約640円）」、果たして本当でしょうか？

そこで、シンガポール最大手のスーパーマーケットチェーン「Fair Price」(日本の生協的な位置づけの一般庶民向けのスーパー)のネットスーパーで売られているポテトチップス・缶ビールの値段を調べてみました。比較対象の日本の価格はイオンのオンラインスーパーまたは楽天の最安値のお店です。（1シンガポールドル＝80円）

ポテトチップス

記事ではポテトチップスが$4.50(約360円)と書かれていますが、FairPriceで売られている該当するポテトチップスは輸入品の「レイズ」のポテトチップス、約356円です。

同じ「レイズ」のポテトチップス、日本の楽天で最安値で売られている価格が395円、シンガポールのほうが安く購入できます。記事で紹介された価格は、輸入品の高級ポテトチップスの価格だったのです。

缶ビール(500ml)

記事では500ミリリットルの缶ビールが８シンガポールドル（約640円）と書かれていますが、最も価格が近いのはサッポロプレミアムビール、650mlで約572円です。

地元ナンバーワンのタイガービールは500mlで約352円、記事の約640円の半額近い価格です。アルコール類は高めのシンガポールですが、500mlで8シンガポールドル（約640円）のビールは輸入ビールに限られます。

シンガポールは物価が高い、確かに周辺諸国に比べれば物価は高く、日本に比べて高いものもあります。しかし、一部の切り取られた情報を鵜呑みにしてしまうと、このように実態とはかけ離れた印象を持たされてしまうことになります。

観光でシンガポールを訪れた方がシンガポールの物価の高さに驚くのは、旅行中に立ち寄ることが多いセブンイレブンで売られている飲み物の価格だと思います。

例えば緑茶の「綾鷹」、オフィス近くのセブンイレブンでは500mlボトルを$2.60(約208円)で売っています。しかし、そのセブンイレブンのすぐ向かいにある先程紹介した地元スーパー「FairPrice」系のコンビニ「Cheers」では、セール価格で2ボトルで$2(1ボトル１ドル:約80円)で売っています。更に「FairPrice」では、1.5LTRのボトルを＄2.05（約164円）、セブンイレブンの500mlボトルよりも安く売っています。

このようにどこで買うか、どこのお店の値札を見たかでも、物価の印象は大きく変わってしまいます。

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