留学先の国別「自然災害リスク」ランキング
日本は世界有数の自然災害が多い国、大きな自然災害に見舞われると貴重な人命が失われるだけでなく、生活に慣れ親しんだ街でさえも避難生活や食料・生活物資の不足、断水、停電、道路・鉄道の寸断など日々の生活は苦労の連続です。
そのような自然災害に海外留学・ワーホリ中に遭遇してしまったら…、想像もしたくないことだと思います。
そこで世界193ヵ国の自然災害リスクを数値化した統計指標「World Risk Report -2023-」をもとに主要な留学先の国+日本のランキングをご紹介します。
「World Risk Report -2023-」は100以上の自然災害に関連する指標から主に以下の観点で各国の自然災害リスクを数値化しています。
- 自然災害リスク
地震、津波、台風、洪水、干ばつなどの自然災害の影響を受けやすさ - 社会脆弱性
貧困、格差、教育レベル、医療体制などの社会的な脆弱性 - 適応能力
防災対策、インフラ整備、経済力などの災害への適応能力
留学・ワーホリ先選びの1つの参考にして頂ければと思います。
10ヵ国の自然災害リスク
イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、マレーシア、マルタ、シンガポール、日本の10ヵ国の自然災害リスクを抽出しました。実際の調査対象は193ヵ国です。
全体順位 | 国 | 数値 | リスク度 |
---|---|---|---|
1位 | フィリピン | 46.86 | とても高い |
20位 | アメリカ | 22.47 | とても高い |
22位 | オーストラリア | 21.54 | とても高い |
24位 | 日本 | 20.86 | とても高い |
26位 | カナダ | 19.17 | とても高い |
36位 | マレーシア | 14.04 | とても高い |
36位 | ニュージーランド | 14.04 | とても高い |
80位 | イギリス | 5.66 | 普通 |
184位 | マルタ | 0.88 | とても低い |
190位 | シンガポール | 0.63 | とても低い |
リスク度 | 数値 |
---|---|
とても低い | 0.00 - 1.84 |
低い | 1.85 - 3.20 |
普通 | 3.21 - 5.87 |
高い | 5.88 - 12.88 |
とても高い | 12.89 - 100.00 |
自然災害大国「日本」の順位が予想より低いことに驚かされますが、これは指標に「社会脆弱性」や「適応能力」も含まれているからだと思います。自然災害大国ゆえに予報や避難、復旧などの体制が整っているからなのでしょう。
世界で自然災害リスクが最も高い国はフィリピン、日本同様に台風、地震や火山が多い国です。インフラや医療などの基盤が日本に比べて弱い分、リスクも高くなっています。台風シーズンは台風襲来による空港閉鎖・欠航等もリスクになりえるでしょう。
またアメリカやオーストラリア、カナダが上位なのは国土の広さゆえに自然災害の影響を受ける確率が高いことが原因だと思います。反対にシンガポールもそうですが自然災害リスクが極めて低い国は面積の狭い国が多くを占めています。
シンガポールのお隣、マレーシアが意外に高いのには驚きました。マレーシアの自然災害のイメージは洪水です。特に雨季の時期(11月~2月頃)はマレー半島東海岸を中心に洪水被害のニュースを目にします。またペナン島などタイ国境に近いマレーシア北部の西海岸はスマトラ島北部で大きな地震が発生すると津波が押し寄せる可能性があります。スマトラ島沖地震の津波でもペナン島等で犠牲者を出しています。
シンガポールは世界トップレベルの低リスク
シンガポールの自然災害リスクは「193ヵ国中 190位」、世界で最も自然災害リスクの低い国の1つです。ちなみにシンガポールより更に低リスクな国はサンマリノ、モナコ、アンドラの欧州3ヵ国です。
シンガポールの地震リスク
シンガポールの南西にはマラッカ海峡をはさみインドネシアのスマトラ島があります。日本同様に大地震多発地帯ですが、地震帯があるのはシンガポールからみてスマトラ島の反対側(南側)、シンガポールからはかなり離れています。この地域を震源としたM7-8級の地震が発生した場合、シンガポールもわずかな揺れ(震度1程度の感覚)を感じることがあります。
しかし地震に慣れていないシンガポールの人々、特に高層階で働いたり生活している人には震度1程度の揺れでもかなりの恐怖を感じるようです。
シンガポールの津波リスク
地震・津波による世界最悪の犠牲者を出した2004年のスマトラ島沖地震の時も隣国マレーシアは北部に津波が押し寄せ犠牲者も出ましたがシンガポールには津波は到来しませんでした。シンガポールの海側(南部)にはインドネシアの島々(リアウ諸島)が点在、津波の直撃を受ける可能性は地形的に低いと言われています。
シンガポールの台風リスク
台風はフィリピン近海(フィリピン東方沖)で発生、次第に勢力を強め日本方面に北上することが多いです。そのため東南アジア全体でも台風の影響を受けるのはほぼフィリピンのみ、稀に北上しなかった台風がベトナム方面に進むことがある程度です。
シンガポールで過去に台風が確認されたのは1回のみ、2001年12月の台風26号(英語名:Vamei)、観測史上最南端で発生した台風として記録されています。台風はシンガポールの北、マレーシア・ジョホール州に南シナ海から上陸、マレー半島を横断してインド洋に抜けました。
シンガポールの洪水リスク
南国の熱帯気候のためスコールはとても多いシンガポール、短時間に猛烈な集中豪雨(いわゆるゲリラ豪雨)の時は一部の道路が短時間冠水することは年に何度か発生しています。国土が狭いため上流で降った豪雨が原因で下流が大洪水に…ということはありません。
シンガポールの自然災害
それではシンガポールで遭遇する自然災害は何があるのでしょうか? 強いてあげるとしたら「落雷」「倒木」の2つです。
シンガポールは雷がとても多い都市です。雷を伴ったスコールは日常茶飯事で雷の音の大きさにシンガポールに来たばかりの日本人は驚かされます。雷が原因の被害は停電を思い浮かべる方も多いと思いますがシンガポールの電線は全て地下に埋設されているため雷が原因の停電はほぼ起こりません。雷が鳴ったら見通しの良い場所から非難することさえ守っていれば大丈夫だと思います。
もう1つの災害「倒木」、これはスコールが原因で地盤が緩み街路樹などが倒れる被害です。道路を塞ぎ通行止めになったり、駐車場に止めていた車に倒木が覆いかぶさり車を傷つけるという被害は時々起きています。
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