QS世界大学ランキング2019年版発表 アジアトップはシンガポール国立大、東大との差はどこに?

ここ数年、日本でも取り上げられることが多くなった世界大学ランキング。

世界大学ランキングはいくつかの調査機関がそれぞれ独自の指標基準で発表しているため、ランキングによって順位に違いがありますが、200位くらいまではランクインしている大学にそれほど大きな違いはありません。

シンガポールには各種大学ランキングで軒並み1位を記録している「シンガポール国立大(NUS)」、それに引けを取らない順位の「南洋理工大(NTU)」があり、いずれも大学ランキングの順位は東大・京大よりも上位です。

先日、Quacquarelli Symonds社の「QS世界大学ランキング」の2019年度版が発表されました。

QS WORLD UNIVERSITY RANKING 2019

今回発表されたランキングでも、シンガポール国立大は11位、南洋理工大は12位で、アジア全体の1・2位を独占しました。一方、東大は昨年度版からランクを上げたものの23位。

こうした結果から、東大の凋落、日本の教育の低下がメディアで盛んに取り上げられています。

よく誤解されがちですが、世界大学ランキング=入試難易度(偏差値的な学力)ではありません。そればかりか、そのような要素はランキングの指標には一切含まれていません。

東大・シンガポール国立大 各評価指標別のスコア比較

それでは、この順位の差はどこで生じているのでしょうか?

そこでシンガポール国立大(NUS)・東大の各指標のスコアを比べてみましょう。

ランキングは6つの指標をもとに算出され、各指標の評価比重も異なります。

指標 NUS 東大
学術関係者の評判(40%) 99.8 100
雇用主の評判(10%) 99.1 99.5
教員・学生の比率(20%) 91.8 94.2
教員の論文引用数(20%) 72.8 72.2
外国人教員の比率(5%) 100 12.3
留学生の比率(5%) 80.7 25.5
合計 92 85.3

出典 National University of Singapore (NUS)  The University of Tokyo

QS世界大学ランキングは、スコア全体の40%を「学術関係者の評判」で評価しています。そのため、このスコアが高くなければランキングの上位には入れません。

シンガポール国立大は99.8、東大は100の満点評価、ここでの違いはほぼ無いに等しいです。

満点評価は東大以外に世界で7大学、ハーバード大・ケンブリッジ大・マサチューセッツ工科大・オックスフォード大・スタンフォード大・カリフォルニア大バークレー校・カリフォルニア大ロサンゼルス校、トップ中のトップ大学ばかりです。

東大は大学で最も大切な学術面では世界1位に肩を並べる評価を得ていることになります。

他の評価、「雇用主の評判」「教員・学生の比率」「教員の論文引用数」も「学術関係者の評判」同様、東大もシンガポール国立大も大きな差はありません。ほぼ誤差の範囲です。

差がついたのは「国際性」の2つの指標

しかし、最後の2つの指標、「外国人教員の比率」「留学生の比率」、いずれも国際性に関する指標では、月とスッポンと言ってもよい圧倒的な差が生じています。

「シンガポール国立大11位・東大23位」、この違いはそのまま「国際性の2つの評価の差」そのものと言えるでしょう。

ある意味、ガラケー同様、とても「ガラパゴス的」な評価とも言えます。

そして東大が世界トップ20、トップ10に入るには、圧倒的に低いこの2つの国際性の評価を上げる以外に方法はないことも明確です。

ちなみに東大より上位の22大学は、スイス2校・シンガポール2校・中国1校、残りの17大学は全てイギリスまたはアメリカの大学です。共通言語が英語のシンガポールは、小学生から教育言語は英語、もちろん大学の講義も全て英語です。

17位の中国・清華大学は「留学生の比率」は29.2、東大の25.5よりやや上程度、しかし「外国人教員の比率」は60.6、東大の12.3よりかなり高いスコアです。この差が東大より上位の理由です。

一方、ドイツやフランス、教育の評判が良い北欧のトップ大学はいずれも東大よりも下位です。

手っ取り早く外国人教員・留学生を増やす策

日本の最高学府として、技術大国日本のプライドとして、東大の世界評価は高いに越したことはありませんが、東大の「学術関係者の評判」が世界トップ大学と同じ満点評価を得たのは、ノーベル化学賞を受賞した白川博士のインタビュー*にもあるように、母語である日本語での専門教育・高等教育による賜物であるとも言えます。

*英語よりまず日本語を—―ノーベル賞化学者、白川英樹博士インタビュー

日本語による質の高い高等教育・研究を維持しつつも、世界大学ランキングで上位に入るには、外国人教員・留学生をそれなりの規模で増やさなければならない、この相反する2つの事柄に取り組まなければならないのが、現在の日本のトップ大学です。

しかし既存の学部で外国人教員・留学生を大きく増やすのは「日本語の壁」があるため、一朝一夕に実現できるものではありません。また日本語で教育を受けてきた日本人の学生にいきなり大学になって英語の講義を増やしても、教育の質低下は免れず、高等教育として本末転倒です。

ここ数年、英語による履修のみで卒業できる学部(いわゆる国際教養系)が日本のトップ大学に増えているのは、手っ取り早く外国人教員・留学生を増やし、大学ランキングの国際性評価を上げる目的もあるのは間違いないでしょう。

一方、トップ大学以外の大学は、総合ランキングではなく、各指標の中で重点指標を決めて伸ばしていく、各大学の強みを明確にした大学運営が大切になるのでしょう。

QS世界大学ランキング2019 日本・シンガポールの大学抜粋版

11 National University of Singapore
12 Nanyang Technological University
23 東京大
35 京都大
58 東工大
67 大阪大
77 東北大
111 名古屋大
126 九州大
128 北海道大
198 慶応大
208 早稲田大
260 筑波大
321 広島大
352 神戸大・東京医科歯科大
456 一橋大
460 横浜市大
464 千葉大
500 Singapore Management University
511-520 熊本大・岡山大
521-530 長崎大
541-550 大阪市大
561-570 金沢大
571-580 東京農工大
601-650 鹿児島大・大阪府大
651-700 岐阜大・新潟大・首都大
701-750 群馬大・山口大・横浜国大
751-800 名古屋工大・上智大・東京理科大
801-1000 青山学院大・同志社大・京都工芸繊維大学・九州工大・明治大・お茶の水女子大・立命館大・埼玉大・信州大・東海大

 

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