Business Journal 「国外移住する日本人が増加中」 を読んで

Business Journal 「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(2月第1週) 教育移民はマレーシア「イスカンダル」へ? 国外移住する日本人が増加中 の記事、最近多い海外移住記事ですが、記事内で気になった箇所が幾つかありました。

地域別に見ると、45万人いる北米がもっとも多いが、次がアジアの33万人。アジアは5年前に比べて、19%も増えており、全体の伸び率11%を大きく上回る。つまり、アジアで暮らす日本人が増えているのだ。そこで、今回は「アジアへの脱出」に焦点をあてた特集だ。

アジアで暮らす日本人が急増している、これは現在のビジネスチャンスの中心がアジアである以上、当然のことです。移住目的・日本脱出(この言葉は好きではありませんが)の日本人も増えているのは確かですが、アジアに住む日本人の多くを占めているのは、企業からの駐在員とその家族です。またアジアで暮らす33万人の日本人のうち、中国在住日本人が全体の4割(14万人)を占めています。要するに中国への進出増がアジアに住む日本人の急増の最大の要因になっています。データ参照元:海外在留邦人統計(外務省)

次にシンガポールに関する部分、

また、一時期、税負担が少ないことで、富裕層の人気が高く、移民受け入れが活発だったシンガポールも、国内の格差問題を理由に見直しの動きが広がっている。日本人が長期滞在する場合に現実的なのは、就労ビザのP1パス。条件は大卒以上の学歴があり、ITや金融などの分野でスキルを持ち、月給が8000シンガポールドル(約60万円)以上などといった条件がある。

日本人が取得できる就労ビザは、Employment Pass(通称EP、更に収入等によりP1,P2,Q1にクラス分けされている)及びSパス(EPの1ランク下の就労ビザ。EPより収入が低く、学歴の審査も緩い)があります。
日本人が長期滞在する場合に現実的なのは、必ずしも、記事内にある「就労ビザのP1パス」 である必要はありません。

また周囲の話を聞いた限り、四大卒でなくとも、調理師や美容師といった職の日本人も、P1(月給8000ドル以上)/p2(月給4500ドル以上)レベルの給与になれば、EPを取得できています。ITや金融分野のスキルがある必要性もなく、最も重視されるのは、「給与が幾らなのか?」です。但しお同じEPでもQ1(月給3000ドル~$4500ドル)レベルの給与になると、卒業大学・年齢・職歴によって、3000ドルから4500ドルの間でビザ取得に必要な給与額が異なります。

ただし、この条件では、取得するのがなかなかに厳しい。なかには「起業」というもうひとつの方法でP1パスを取得する日本人が多い。その場合、目安として5万ドル(約365万円)以上の資本金で法人を設立し、さらにその法人で月収8000ドル以上で1人以上雇うというのが条件だという。

起業という方法で就労ビザを取得するには、2つの方法があります。1つはアントレパス(起業家ビザ)を申請・取得、その後に法人を設立する方法、但し、この方法はローカルスタッフを○名以上雇わなければならない・・・などの規定が厳しく、申請者本人の起業実績・経営実績も審査対象になります。その為、アントレパスを使い起業するケースはかなり少ないと思います。

もう1つは、最初に法人を設立、その法人の社員として自分自身の就労ビザを申請する方法です。記事にあるように「その法人で月収8000ドル以上で1人以上雇う」方法では、自分自身には就労ビザは許可されません。P1のEPを取得したければ(先に書いたようにP1にこだわる必要性はありませんが)、自分自身が月給8000ドル以上を得ること、これが許可される最大のポイントです。

最後にマレーシア・ジョホールのイスカンダル教育ハブ計画について。

イスカンダルの教育特区には、2011年に英国ウィリアム王子と結婚したキャサリン妃も卒業した英国名門校マルボロカレッジのマレーシア分校も昨年秋に開校した。年間学費は幼稚園約120万円、小学校約150万円、中学校約200万円と日本とそう変わらない。ならば、一流の教育が受けられ、人脈を作ることができるマルボロカレッジを、と日本人家族の教育移住の取り組みを紹介している。

マルボロカレッジの名前が日本語で急激に見られるようになったのは、キャサリン妃のご結婚以降。その後は枕詞のように「キャサリン妃の・・・」という紹介をされています。
しかし記事にあるように開校は昨年、まだ1年も経過していません。シンガポールから通学している児童もいるようですが、当地におけるジョホールバルの治安イメージの悪さから、それほど話題にはなっていないようです。実際、シンガポールに住む外国人向けの英語フォーラム Expat Singaporeにおいても、シンガポール国内のインターナショナルスクールの話題は豊富ですが、マルボロカレッジに関する話題は皆無に等しいです。

子供の教育、特に義務教育年齢の教育を「英語」だけで決めてしまおうとしている例を多く見てきました。正直、とても安易だと思います。

大切なことは、子供の母語は何語なのか? 子供を何人として育てたいのか? この2つを明確にすることです。

母語に関しては、親が日本人だから日本語は自然に覚えるだろう…今は日本語を使っているから大丈夫…と安易に考えている親が少なくありません。しかし自分が子供の頃を思い出してみてください。漢字を覚えるのがどれだけ苦痛だったことか? 今の日本語力があるのは小学校・中学校の国語教育のおかげなのです。

そして、子供を何人として育てたいのか? 義務教育とはその国の国民を育てる教育です。日本の教育は日本人を育てる教育、シンガポールの教育はシンガポール人を育てる教育、イギリスの教育はイギリス人を育てる教育です。

教育方針に正解はありません。しかし英語での教育を考えるのなら、人格形成の重要な部分を占める「母語」「国民教育」をどうするか? この大切な部分も十分に考えたうえで、教育方針を決めてもらいたいです。日本語を母語に日本人として育てたいのなら、義務教育期間は日本の教育を受けさせることが大切だと思います。

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